30代・40代のキャリアを考えたい方へ

30代・40代のITリスキリング|これまでの仕事とITスキルを活かす転職の考え方

これまでの仕事を捨てて一からやり直すのではなく、「過去の経験×ITスキル」で次の仕事を考える方法を解説します。

公開日:2026年7月13日 情報基準日:2026年7月10日

30代・40代からITを学ぼうとすると、「未経験からプログラマーへ転職できるだろうか」「年齢が上がるとIT業界は難しいのではないか」と不安になる方もいるでしょう。

未経験者向けの求人であっても、企業が期待する経験、教育体制、勤務地、待遇はさまざまです。特に30代後半以降では、若年層向けのポテンシャル採用と同じ探し方だけに絞ると、希望条件に合う求人が限られる場合があります。しかし、「35歳を過ぎたら転職できない」といった一律の境界があるわけではありません。年齢だけで可能性を決めるのではなく、これまでの経験をどの仕事で生かせるかを考えることが重要です。

また、ITを学ぶ目的は、IT企業へ入り、プログラムを書く仕事に就くことだけではありません。事務、営業、接客、製造、物流などで得た業務知識にIT技術への理解を加え、同じ業界のシステム運用、ITサポート、導入支援、データ活用、業務改善などへ仕事の選択肢を広げる方法もあります。

この記事では、これまでの仕事を捨てて一からやり直すのではなく、「過去の経験×ITスキル」で次の仕事を考える方法を、具体例と求人の確認手順に沿って解説します。

先に押さえたいポイント

  • 進路はプログラマーだけではないIT企業だけでなく、事業会社のシステム運用、導入支援、業務改善なども比較します。
  • これまでの経験を具体化する業界知識、仕事の流れ、改善や調整の経験を、新しく学ぶIT技術と結びつけます。
  • 実際の求人で確かめる年齢や職種名だけで判断せず、仕事内容、必須条件、勤務地、待遇を確認します。

リスキリングは、これまでの経験をリセットすることではありません

リスキリングという言葉は、新しい職業に就くために、今までとはまったく異なる技能を学び直すことだと思われがちです。しかし、実際の仕事では、新しく学んだ技能だけでなく、これまでに身につけた知識や経験も使います。

たとえば、販売管理システムを作るには、プログラミングの知識だけでなく、商品を登録し、在庫を確認し、受注から出荷まで進める業務への理解が必要です。医療、介護、製造、物流、教育などのシステムでも、それぞれの現場で使われる言葉、手順、制約を理解しなければ、利用者に合う仕組みを考えにくくなります。

これまでの経験には、次のような要素が含まれています。

  • 業界で使われる用語、商品、サービスへの理解。
  • 仕事が始まってから完了するまでの手順。
  • 顧客や利用者が困りやすいこと。
  • ミスや遅れが発生しやすい箇所。
  • 法令、安全、個人情報など、業界固有の注意点。
  • 社内外の関係者と調整する方法。
  • 新人教育、手順書作成、問い合わせ対応の経験。

これらは、プログラミング言語の学習とは別の種類の知識です。新しく身につけるITの知識と組み合わせることで、現場の課題とシステムの両方を理解し、関係者の間をつなぐ力になり得ます。

IT業界以外でもデジタル技術への理解が求められる背景

企業がデジタル技術を使う場面は、IT企業のシステム開発に限られません。顧客情報の管理、受発注、予約、会計、生産、在庫、勤怠、教育、問い合わせ対応など、多くの業務でシステムやデータが使われています。

経済産業省の「デジタルスキル標準」は、「DXリテラシー標準」を全てのビジネスパーソンが身につけるべきスキルの指針として位置づけています。また、DXを推進する人材の役割と必要なスキルを「DX推進スキル標準」として整理しています。

IPAの「DX動向2025」でも、日本企業におけるDX推進人材の不足や育成が課題として扱われています。これらの資料から、デジタル技術を理解し、業務に生かす人材がIT業界だけの課題ではないことが分かります。

企業にデジタル人材が不足しているという調査結果は、ITを学べば誰でも採用されることや、待遇が上がることを意味しません。企業が求める役割、必要な経験、使用する技術は求人ごとに異なります。自分が通える地域の実際の求人で応募条件を確認してください。

ITを学んだ後に考えられる4つの方向

仕事を「IT業界へ転職するか、しないか」だけで分けると、選択肢を狭めてしまいます。業界と役割を分けて考えると、主に次の4つの方向があります。

方向 仕事の例 過去の経験とのつながり
IT企業でIT職に就く 開発、テスト、運用・保守、ITサポート 学習した技術を直接使いながら、顧客対応や正確な作業などの経験を生かす
IT企業で特定業界を支援する 導入支援、カスタマーサポート、システム運用、営業支援 顧客と同じ業界で働いた経験を、要望理解や説明に生かす
これまでの業界でIT関連業務に就く 社内システム運用、ヘルプデスク、IT資産管理、DX推進補助 業界・社内業務への理解とITの基礎を組み合わせる
これまでに近い職種でIT活用の比重を高める データ集計、業務改善、Web運用、システム導入担当 既存業務を続けながら、データやシステムを扱える範囲を広げる

同じ職種名でも、仕事内容は企業によって異なります。たとえば「社内SE」は、問い合わせと端末管理が中心の求人もあれば、システム企画、ベンダー管理、プログラム開発まで担当する求人もあります。「DX推進」も、経験者向けの企画職から、データ整理や導入補助まで幅があります。

職種名だけを見て「未経験でもできそう」「ITを学んだから応募できる」と判断しないことが大切です。必須経験、入社直後の担当業務、教育体制を確認してください。

過去の業務経験は、どのようにITとつながるのか

ここでは、前職とIT技術を掛け合わせる方向の例を紹介します。実際に応募できるかは、個人の経験と求人条件によって異なります。以下は職種を保証するものではなく、求人を探すための視点です。

事務・経理・総務の経験

事務系の仕事では、データの入力・確認、帳票作成、申請、締め処理、部署間の連絡などを行います。この経験があると、システムに必要な入力項目、承認の流れ、間違いが起きやすい箇所を具体的に考えられます。

ITの学習と組み合わせると、次のような方向を検討できます。

  • 業務システムの利用者支援や問い合わせ対応。
  • マスターデータの登録・確認、データ抽出や集計。
  • 会計・人事・勤怠システムなどの導入・運用補助。
  • 業務手順の整理、手順書作成、業務改善の補助。
  • システム改修時のテストや利用部門との調整。

SQLやデータベースの考え方を学ぶと、画面に表示される情報がどのようなデータとして保存されているかを理解しやすくなります。ただし、訓練でSQLを学んだだけで、すべての企業のデータを扱えるわけではありません。使用する製品、権限、社内ルールを追加で覚える必要があります。

営業・販売・接客の経験

営業や接客では、相手の要望を聞く、分かりやすく説明する、問い合わせや不満に対応する、記録を残して関係者へ引き継ぐといった力を使います。

ITの学習と組み合わせると、次のような方向があります。

  • IT製品や業務システムのカスタマーサポート。
  • システム導入時の利用方法の説明や初期設定支援。
  • 顧客管理システムや予約システムの運用。
  • Webサイトの更新や、問い合わせデータの整理。
  • IT企業での営業支援、プリセールス補助、カスタマーサクセス。

HTML・CSS・JavaScriptを学ぶと、Webページがどのような構造で表示され、入力やボタン操作がどのように処理へつながるかを理解できます。自分で大規模なWebサービスを開発できなくても、利用者の質問を開発担当へ正確に伝えたり、簡単な更新箇所を確認したりする土台になります。

製造・物流の経験

製造や物流では、工程、在庫、品質、納期、安全、設備など、多くの情報を扱います。現場の手順や、数字と実物が一致しなくなる原因を知っていることは、生産管理・在庫管理システムなどを扱う際の理解に役立ちます。

ITの学習と組み合わせると、次のような方向があります。

  • 生産・在庫・倉庫管理システムの運用や利用者支援。
  • システム導入時のデータ確認、操作テスト、手順整備。
  • 現場の課題を整理し、情報システム部門や外部ベンダーへ伝える役割。
  • 作業実績や品質データの集計・可視化。
  • 製造・物流向けシステムを提供するIT企業での導入支援やテスト。

Javaやデータベースを学ぶと、システムの画面だけでなく、その裏で処理やデータがつながっていることを理解しやすくなります。一方、製造設備の制御や高度なデータ分析には、訓練とは別の専門知識が必要です。

医療・介護・教育などの経験

医療、介護、教育などでは、利用者への説明、記録、関係者との連携に加え、個人情報や業界固有の制度を扱います。現場経験があると、システムの操作だけでなく、なぜその確認や記録が必要なのかを理解できます。

ITの学習と組み合わせる方向には、業界向けシステムの問い合わせ対応、導入支援、操作説明、データ管理、テストなどがあります。ただし、個人情報、法令、資格業務との境界など、業界固有の条件を必ず確認する必要があります。

管理・教育・調整の経験

リーダー、新人教育、顧客との調整、手順書作成などの経験も、IT関連業務で役立つ場合があります。

  • システムの操作手順を利用者へ説明する。
  • 問い合わせ内容を整理し、担当部署へ引き継ぐ。
  • 現場と開発担当の認識の違いを確認する。
  • 導入日程、課題、対応状況を管理する。
  • テスト結果や障害の状況を、再現できる形で記録する。

ITの仕事は、一人でコードを書くことだけではありません。相手の話を聞き、事実を整理し、技術担当と利用者の間で正確に伝える力も多くの場面で必要です。

訓練で学ぶ技術を、仕事の言葉へ置き換える

湘南ハイテク企画の「Web・AIアプリ&システム技術者養成科」では、コンピュータの基礎から、Java、データベース、Webシステム開発、JavaScript、Python、データサイエンスまでを段階的に学びます。

応募先を考えるときは、技術名を並べるだけでなく、その学習によって何を理解し、どの業務に結びつけられるかへ置き換えます。

訓練で学ぶ領域 理解できるようになることの例 関係する業務の例
コンピュータ・ネットワーク PC、OS、ファイル、通信の基本 ITサポート、端末管理、障害の切り分け
Java・オブジェクト指向 プログラムが条件やデータを処理する流れ 開発、テスト、保守、仕様理解
SQL・データベース 情報を表として整理し、登録・検索・更新する考え方 データ確認、システム運用、テスト、集計
Linux・Git/GitHub・Docker 実行環境や変更履歴を管理する基礎 開発補助、システム運用、チームでの変更管理
Spring Boot・REST API Web画面とサーバー、データベースが連携する仕組み Webシステム開発、テスト、導入支援、仕様確認
HTML・CSS・JavaScript Web画面の構造、見た目、操作の仕組み Web運用、画面テスト、更新、利用者支援
Python・データサイエンス データを加工・集計・可視化する入口 データ整理、分析補助、業務改善の検討

表の業務を、訓練修了後すぐにすべて担当できるという意味ではありません。たとえば、データ分析には業務目的の理解や統計、社内データの知識が必要です。ITサポートには、企業が使う製品やネットワークについて追加学習が必要になることがあります。

訓練で作るのは、知らないシステムや技術を理解するための土台です。その土台と過去の経験を、応募する求人に合わせて説明します。

「経験×ITスキル」を整理する5つの手順

過去の経験は、「営業をしていた」「事務をしていた」だけでは応募先へ伝わりません。次の順番で具体化します。

1. 担当業務を、作業の流れに分ける

まず、仕事の開始から完了までに何をしていたかを書き出します。

たとえば「受発注事務」なら、注文内容の確認、システムへの入力、在庫確認、倉庫への連絡、出荷状況の確認、請求データの作成、問い合わせ対応というように分けます。

2. 工夫したことと、解決した問題を探す

次に、単に担当したことではなく、仕事を進めるために工夫したことを整理します。

  • 入力ミスを減らすために確認表を作った。
  • 問い合わせ内容を分類し、回答しやすくした。
  • 新人向けに操作手順書を作成した。
  • 部署間で異なっていた情報の持ち方をそろえた。
  • 遅れや異常を早く見つけるために記録方法を変えた。

成果を示す数字がある場合は使えますが、無理に作る必要はありません。どのような状況で、何を考え、どう行動したかを事実に沿って説明できることが重要です。

3. 業務で使ったシステムとデータを振り返る

業務システム、表計算ソフト、顧客管理、予約、在庫、会計など、仕事で使った道具を書き出します。その際、製品名だけでなく、何を入力し、何を確認し、結果を誰へ渡したかを整理します。

システム開発の経験がなくても、利用者として業務システムを使い、問題点や必要な情報を理解していることは経験の一つです。

4. 学んだIT技術との接点を作る

訓練で学んだ内容を、過去の仕事へ当てはめて考えます。

たとえば、受発注事務の経験者がデータベースを学んだ場合、次のように整理できます。

受注、商品、在庫、出荷の情報が関連している業務を経験しました。訓練でSQLとデータベース設計の基礎を学び、画面上の情報がどのように保存・検索されるかを理解しました。今後は、業務経験を生かせる販売・在庫管理システムの運用やテストを中心に求人を調べます。

これは「データベースの専門家になった」という主張ではありません。何を経験し、何を学び、どの仕事で生かしたいかをつなげた説明です。

5. 求人票で通用するか確かめる

最後に、考えた方向に実際の求人があるかを確認します。求人票を複数見て、共通して求められている経験や技術を整理します。

  • 自分の経験が必須条件または歓迎条件に含まれているか。
  • 訓練で学ぶ内容と、求人の使用技術がどこまで重なるか。
  • 入社直後に担当する仕事は何か。
  • 不足している技能を、応募前または入社後に補えるか。
  • 勤務地、勤務時間、給与、雇用形態が希望と合うか。

希望する方向の求人がほとんどない場合は、検索語、勤務地、職種、条件の優先順位を見直します。求人の存在を確認せずに、職種名だけで進路を決めないことが大切です。

求人を探すときは、経験した業界と役割を組み合わせる

「未経験 プログラマー」だけで検索せず、経験した業界や業務とIT関連の役割を組み合わせます。

検索語の組合せ例

  • 経験業界+社内システム/情報システム/ITサポート。
  • 経験業界+システム運用/導入支援/カスタマーサポート。
  • 経験業界+業務改善/DX推進補助/データ集計。
  • 経験業務+システム移行/マスターデータ/テスト。
  • 経験した製品・業務システム+運用/サポート/導入。
  • 使用言語+テスト/保守/開発補助。

たとえば物流経験があるなら、「物流 システム運用」「倉庫管理システム 導入支援」「物流 ITサポート」などを試します。接客経験があるなら、「IT カスタマーサポート」「業務システム 操作案内」などが候補になります。

検索結果には、経験者向け求人や希望と異なる仕事内容も含まれます。見つかった件数だけで判断せず、求人票を開いて具体的な条件を確認します。

求人票で確認する項目

  • 入社直後の担当業務と、将来担当する可能性がある業務の区別。
  • 必須経験と歓迎経験。
  • 使用するシステム、言語、製品、ツール。
  • 自社内、顧客先、在宅などの勤務場所。
  • 顧客対応、問い合わせ、データ入力などの業務割合。
  • 研修の内容、期間、研修後の配属方法。
  • 夜間・休日勤務、シフト、出張、転勤の有無。
  • 給与に固定残業代や手当が含まれるか。
  • 契約期間、更新条件、正社員登用の条件。

「未経験歓迎」「研修あり」「DXに関われる」といった言葉だけでは、実際の仕事は分かりません。面接では、1日の作業例、配属後に最初に担当する仕事、同じ経歴の人の配属例、教育担当者の有無などを質問します。

「より良い条件」は年収だけで決めない

ITを学ぶ目的として、収入や働き方を改善したいと考えることは自然です。ただし、未経験分野へ移る場合、最初から前職より給与が上がるとは限りません。反対に、前職と同じ業界や近い業務で経験が評価されれば、完全な未経験として応募するより条件を維持しやすい可能性もあります。

比較するときは、年収だけでなく次の項目を並べます。

比較する条件 確認する内容
収入基本給、賞与、手当、固定残業代、昇給条件
雇用正社員、契約社員、派遣、有期契約、更新条件
時間所定労働時間、残業、シフト、夜勤、休日
場所通勤時間、転勤、顧客先勤務、在宅勤務の条件
仕事内容入社直後の担当、IT業務の割合、身につく経験
学習環境研修、質問相手、資格支援、業務時間内の学習
継続性契約や案件が変わった場合の扱い、評価・異動制度

たとえば、年収が少し上がっても、通勤時間や休日出勤が増えると、希望する生活には合わない場合があります。一方、入社時の給与が同程度でも、希望する業務経験を積めることを重視する人もいます。

「譲れない条件」「できれば満たしたい条件」「相談できる条件」に分けると、求人を比較しやすくなります。

30代後半・40代だからこそ、年齢ではなく関連性を説明する

年齢だけで転職の可否を決めることはできません。しかし、採用側が中途採用者に対して、これまでの経験を入社後にどう生かせるかを確認することはあります。

そのため、応募書類や面接では、「ITに興味がある」「手に職をつけたい」だけで終わらせず、次の関連性を説明します。

  1. これまで、どのような業界・業務を経験したか。
  2. 仕事の中で、どのような課題やシステムに関わったか。
  3. なぜITを学ぶ必要があると考えたか。
  4. 訓練で何を学び、何を作り、どこまで理解したか。
  5. 応募先のどの業務で経験と学習を生かせると考えたか。
  6. 入社後に不足する技能を、どう学び続けるか。

30代・40代には、就業経験があるからこそ説明できる事実があります。顧客への対応、納期の管理、後輩への指導、ミスの再発防止、関係部署との調整などです。これらを「コミュニケーション力があります」という抽象的な言葉で終わらせず、具体的な場面で説明します。

一方、過去の経験にこだわりすぎる必要もありません。希望する仕事との関連が薄い場合は、訓練で取り組んだ演習、制作物、エラーを解決した過程など、新しく示せる事実を増やします。

IT業界への転職も、選択肢から外す必要はありません

この記事は、30代・40代にIT業界への転職を勧めないものではありません。開発、テスト、運用・保守、ITサポートなど、未経験者が応募できる求人もあります。

大切なのは、IT業界だけに絞ることでも、年齢を理由に最初から諦めることでもありません。次のように選択肢を並べ、実際の求人で比較します。

  • IT企業の開発・テスト・運用など、技術を直接使う仕事。
  • 前職と同じ業界向けのシステムを扱うIT企業。
  • 事業会社の情報システム、ITサポート、業務改善。
  • 前職に近い仕事で、システムやデータを扱う割合が大きい仕事。

応募先を一つの職種名に固定せず、2〜3の方向を並行して調べると、学習すべきことと希望条件の優先順位が見えやすくなります。IT職種の仕事内容は、IT業界にはどんな職種がある?でも詳しく紹介しています。

職業訓練中に進めたい行動

6か月の訓練では、学習が進むにつれて理解できる求人の内容も増えていきます。修了直前まで仕事探しを待つのではなく、学習と並行して準備します。

訓練前から1か月目:経験と条件を棚卸しする

  • ジョブ・カードや職務経歴書を使い、担当業務を書き出す。
  • 希望する勤務地、勤務時間、雇用形態を整理する。
  • IT企業と、経験業界のIT関連求人を両方見てみる。

2〜3か月目:学んだ内容と求人を結びつける

  • Java、SQL、データベースなどが求人のどこに書かれているか確認する。
  • 気になる求人に共通する必須条件を表にする。
  • 前職の経験を生かせそうな業務をキャリア相談で整理する。

4〜5か月目:応募先に合わせて説明を作る

  • Webシステムの仕組みを、自分の言葉で説明する。
  • 演習や制作物について、目的、担当したこと、つまずき、改善を整理する。
  • 職務経歴と学習内容がつながる応募理由を作る。

6か月目:応募と振り返りを進める

  • 条件を確認したうえで応募する。
  • 書類選考や面接の結果から、説明や応募先の選び方を見直す。
  • 不足する技能を、修了後も学ぶ計画を立てる。

応募を始める時期は、求人状況や個人の準備によって異なります。訓練の学習を止めて応募だけに集中したり、反対に学習だけを続けて求人を見なかったりせず、両方を調整します。

キャリアコンサルティングで「掛け合わせ」を整理する

自分では当たり前だと思っている経験が、応募先で役立つこともあります。反対に、経験を生かせると思っていても、求人では別の技能が必須になっている場合もあります。

湘南ハイテク企画の6か月コースでは、訓練期間中に3回のキャリアコンサルティングを実施します。受講者自身が作成したジョブ・カードを使い、職務経験、訓練で学んだこと、希望する働き方を整理します。

相談時には、次の資料があると具体的に検討しやすくなります。

  • これまでの担当業務を書き出したメモ。
  • 気になる求人票を3〜5件。
  • 希望条件と、優先順位。
  • 訓練で理解できたこと、難しかったこと。
  • IT業界と、それ以外の業界で迷っている点。

キャリアコンサルティングは、応募先や進路を決めてもらう場ではありません。情報と経験を整理し、本人が次の行動を選ぶための機会です。支援を利用しても、求人紹介や就職、待遇の改善が保証されるわけではありません。詳しい活用方法は、求職者支援訓練のキャリアコンサルティングとは?をご覧ください。

この考え方が向いている人

次のような方は、「過去の経験×ITスキル」で仕事を考える方法を検討しやすいでしょう。

  • これまでの業界や仕事に、一定の知識・経験がある人。
  • 完全に別の仕事へ移ることだけでなく、近い領域も比較したい人。
  • IT企業かどうかより、仕事内容や働き方を重視したい人。
  • 現場の課題を整理し、システムを使って改善することに関心がある人。
  • 技術を学びながら、自分の経験を言葉にして説明する準備ができる人。

一方、希望する職種や条件によっては、IT以外の職業訓練、短期講座、資格学習、前職への復帰などが合う場合もあります。IT職業訓練だけを唯一の選択肢にせず、通学期間、生活、求人状況を含めて比較してください。

よくある質問

35歳を過ぎると、未経験からIT業界へ転職できませんか?

年齢だけで一律に転職できないとは言えません。採用条件は、職種、企業、地域、これまでの経験、学習状況によって異なります。ただし、若年層向けのポテンシャル採用と同じ求人だけに絞ると、選択肢が限られる場合があります。IT企業の未経験職に加え、前職と同じ業界のシステム関連業務や、業務経験を生かせる導入支援・運用・サポートなども調べてください。

IT企業でなくても、ITを学ぶ意味はありますか?

あります。多くの業界で業務システム、Web、データが使われており、経済産業省の「DXリテラシー標準」も全てのビジネスパーソンを対象としています。ただし、基礎知識を学ぶことと、企業が求める仕事を担当できることは同じではありません。希望する業界の求人で、IT理解がどの業務に必要とされているかを確認してください。

プログラミングを学んでも、プログラマーにならなければ無駄ですか?

無駄とは限りません。プログラム、データベース、Webの仕組みを理解すると、システムの利用者支援、テスト、導入、運用、業務改善などでも、問題が起きている場所を整理しやすくなります。ただし、仕事でコードを書かない場合でも、学んだ内容をどの業務に生かすか説明できるようにする必要があります。

前職と関係のある業界へ進むほうが、必ず有利ですか?

必ず有利とは限りません。前職の経験が応募先の業務に直接関係しない場合や、企業が別の専門経験を重視する場合もあります。求人票の必須条件を確認し、前職との関連性を具体的に説明できるかを検討してください。

ITを学べば、前職より年収を上げられますか?

収入が上がる保証はありません。未経験分野への転職では、入社時の給与が下がる可能性もあります。基本給だけでなく、雇用形態、固定残業代、賞与、勤務時間、通勤、将来担当できる業務を含めて比較します。過去の経験が評価される求人を探すことは、条件を考える一つの方法です。

どの職種を目指すか決まっていなくても、訓練を検討できますか?

検討できます。受講前に一つへ決める必要はありませんが、訓練中は実際の求人を見ながら、興味のある方向を2〜3種類に整理することが大切です。説明会では、学ぶ技術、想定される仕事、就職支援の内容を確認してください。

まとめ

30代・40代からITを学ぶとき、目標を「未経験からプログラマーになること」だけに限定する必要はありません。IT企業の開発・テスト・運用を目指す道に加え、前職と同じ業界のシステム導入・運用、事業会社のITサポート、データを使う業務改善なども選択肢になります。

その際に重要なのは、年齢だけで可能性を決めることでも、IT人材不足という情報だけで就職できると考えることでもありません。担当してきた業務、解決した問題、使ってきたシステムを具体化し、新しく学んだIT技術と結びつけ、実際の求人条件で確かめることです。

これまでの経験は、捨てるものではありません。一方、経験があるだけで評価されるわけでもありません。「何を経験し、何を学び、応募先のどの仕事で生かせるか」を説明できる形にすることで、IT業界以外も含めて仕事の選択肢を検討しやすくなります。

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